こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。
私が子供の頃「虫歯は何故黒いのか?」ふと疑問に思ったことがありました。
結局、その理由を大学進学後に知ることになりましたが、「虫歯が黒くなるメカニズム」を知ることは、患者さんに虫歯予防の為に歯磨きを頑張っていただく動機付けにもなるかなと思いましたので、この場で少しだけお話させて下さい。
【なぜ虫歯は黒いのか?】
虫歯というと、よく白い清潔な歯に対して黒く汚染されているイメージのイラストが描かれることがありますよね。
実際、虫歯というのはクリーム色から黄色がかった色などをしていることも多いのですが、それだとイラストとして分かりづらいので、コントラストをしっかり付けて黒く描かれることが殆どなのです。
ただ、もちろん黒い虫歯もあります。
黒い虫歯は、何らかの色素が沈着しているものと考えられるのですが、その色素沈着の理由を知るには、虫歯のできる過程を知る必要があります。
【虫歯ができるメカニズム】
虫歯はどのようにできるのでしょうか。まずミュータンス菌などの虫歯菌が歯に付着して歯垢(しこう:プラーク)という細菌のかたまりを作り出します。
そして、食事などで口の中に入ってきた糖分を使って、強力な酸をつくり出します。この酸が、歯を溶かすことで歯に穴が空き、虫歯となるのです。
歯の成分は、カルシウムやリンなどのミネラルなのですが、酸がこれらの成分を溶かすことを、「脱灰(だっかい)」と呼びます。
虫歯が黒くなる理由の一つとして、歯が溶け出して「脱灰」を起こした後に、何らかの色素が沈着したということが考えられます。
脱灰が起きた後に、唾液などから出るカルシウムやリンなどのミネラルが歯に付着して歯が再生することを「再石灰化」と呼びます。
虫歯が黒いのは、この再石灰化の際に何らかの黒い色素を巻き込んだことが理由と考えられるのです。
【虫歯は色では判断できない】
これまでお話したように、虫歯は必ずしも黒いとは限りません。虫歯の進行スピードが速ければ、黒くなる間もなく、むしろ黄色っぽくなります。つまり、虫歯かどうかは、色では判断がつかないのです。
「虫歯は黒いもの」と思い込んでいると、虫歯になっているのにもかかわらず、気づかずに放置してしまう恐れがあります。
たとえ再石灰化の結果、歯が黒くなった後も、そのまま放置して、治療しなければ、虫歯菌はさらに歯の内部で侵食し続け、歯髄という神経にまで到達してしまう可能性もあります。そうなると、神経が炎症することで、激しい痛みが出てくるなど、いいことは一つもありません。
大切なのは、毎日、虫歯予防のためにブラッシングを欠かさないことと、少しでも歯がしみたり、痛みを感じたりしたら、歯医者さんを受診しましょう。