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歯周病学会に参加してきました

こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。

10月26日は、クリニックをお休みさせて頂き、北九州・小倉で開催された
「第62回秋季日本歯周病学会学術大会」
に参加してきました。


今回の学会では、
「寿命100年時代を見据えた歯周病治療」

という進み続ける超高齢社会における歯周病治療のあり方がテーマになっています。

「なぜ、かかりつけ歯科医のいる人は長生きなのか」
など、面白そうな講演を聴講したり、
優秀な先生方の治療や研究報告のポスター展示を見てまわったりなど、せっかく北九州までやって来たので、いろいろと会場内を巡りました。

歯周病というのは、
放置してしまうと蓄積的に病気が進行し、
歯周ポケットが深くなることで治療が難しくなるという特徴があります。

重度の歯周病の患者さんに対しては、どんなに経験を積んだ歯科医師や歯科衛生士でも治療困難な場面に遭遇し、なくなく抜歯を選択するという場面はどうしてもあります。

それに対して、歯肉炎や軽度の歯周病の若い患者さんの場合は、
比較的容易に簡単なクリーニングだけで健康な状態に留めておくことが出来ます。

若い患者さんが、数十年後に訪れる高齢期に備えて、
予め歯肉炎予防を図り、
また早期に歯周病治療を行っていくことが如何に重要なのかということについて、再確認が出来ました。

そして、
最後に聴講した講演の演題は、
「口腔治療学における臨床推論」
という、歯医者さんがほぼ毎日、日常的に行っている行動をを言語化して論じるという講演なのですが、

普段聞きなれない難しい単語が何度も登場する講演でして、
聞き入ると言うより、内容を理解しようとするのにちょっと必死になって聞くような講演でした。

診断と治療は表裏一体であり、
患者さんに診断を予め伝えておけば説明になりますが、
治療が思うようにいかなかった時に、後から言うと言い訳になってしまいます。

患者さんからすれば、常に「確実性」のある診療を求めるのは自然なことですが、医療というのは「不確実性」なものであり、我々歯科医師はこれと常に向き合わなければなりません。

出来る限り、正しい診断を下す為に、日々のトレーニングは大事であり、
千差万別の患者さんの口腔内を「思い込み」で診ずに、
問診や検査結果から自らが診断した病名やその治療計画を省察する(=自分自身をかえりみて、そのよしあしを考える)ことが
必要であるという内容でした。

歯科治療というのは診査結果と診断が、ある程度パターン化してしいて、積み重ねてきた臨床経験(帰納法)による診断が有効であり、多くなるのですが、その中には当然例外のケースがあります。

口腔内は準清潔領域であり、無菌にすることは出来ず、常に細菌と咬合力(噛む力)に晒されています。
歯周病というのは加齢と様々な因子により、慢性的に進行する炎症疾患であるため、

「不確実性」は高くなりますが、少数症例を見落とさず、診断を見誤らないようにする為には、

ニュートンがリンゴが落ちる様子をみて万有引力を発見したように、

問診や検査によりしっかり情報収集を行い、病変をみて、

アブダクション(仮説的推論)

つまり、どういう経緯でそうなったか考えるということを日常的に行うことが必要であり、
帰納法(臨床経験)と合わせて診断を行うことが、これからの歯科医療には必要であると講師の先生は述べられていて、

成功症例より失敗症例から学ぶことは多いのだと、
様々な過去の症例も交えて貴重なお話を聞くことが出来ました。