こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。
皆さんは「バイオフィルム」という言葉を聞いたことはありますか。
聞いた事がない方もいらっしゃるかもしれませんが、近年は、一般の方にも浸透してきた言葉で、歯医者さんだけで使われるの言葉ではないのですが、最近歯科用語としてよく用いられています。
バイオフィルムは、日本語で直訳すると「細菌の塊」です。
お口の中の虫歯菌や歯周病菌等が手と手を結び、より強固となって壊れないようにバリアを作って、
細菌がラグビーで言うスクラムを組んだようになった状態を指します。
歯科以外の身近な場所でもこのバイオフィルムはあります。
それは、排水溝のヌメリです。
台所の排水溝や三角コーナーの下にバイオフィルムを観察することができます。
触るとヌメッとしていて、嫌な感触ですよね。
このヌメッとした汚れが歯にも着いていると考えるとバイオフィルムの嫌なイメージが湧きやすいかもしれないですね。
このバイオフィルムが歯と歯の間に着くと、なかなか取れにくく相当厄介です。
虫歯菌や歯周病菌は、単独ではそこまで悪さをすることができませんが、集まると力を発揮すします。
歯科治療においては、バイオフィルムを除去し、付着しにくくするのに、機械的に歯の表面を磨く、PMTCという方法をとります。
数種類の研磨ペーストを用いて、歯の表面を磨き上げ、バイオフィルムを除去し、付着しにくいツルツルな面に仕上げます。
また、当クリニックでは、患者さんに、毎日のブラッシングのサポートとして、クロルヘキシジンという薬剤の含まれた洗口剤の使用を推奨しております。
クロルヘキシジンは、細菌の殻(細胞壁)にくっつくことで虫歯菌(グラム陽性菌)や歯周病菌(グラム陰性菌)等に対して抗菌作用を発揮します。
そして歯の表面に吸着するため、プラークが付着しにくくなる効果があります。
【補足】
クロルヘキシジンは、欧米では洗口剤として広く使用されていて、その濃度0.12~0.2%と高い濃度のものが処方されていますが、
日本においては粘膜に使用した際にアナフィラキシーショックを起こした事例があります。(歯科領域での報告はありません。)
その為、現在、日本では安全性を考慮して、濃度が0.05%程度と低いものが取り扱いされています。
その他、最近では、リステリンなどの洗口剤でもバイオフィルムを破壊できる事がわかってきています。